留学の種類
職業訓練校
専門スキルを磨いてキャリアアップ
オーストラリアは、業界の第一線で活躍する優れた人材教育を目指し、世界的に高い評価を誇る“専門職の教育機関”を全国的に設けています。それが、キャリアに直結した実践的な知識や専門技術を磨く、VET: Vocational Education and Trainingと呼ばれる職業訓練校です。
オーストラリアの職業訓練校の魅力は、変化を続ける国際市場の新たなニーズや需要に対応し、常に進化していることです。産業関連機関や職業団体と緊密な協力関係にあり、実際の職場で必要とされるスキルを持った卒業生を送り出すために産業界の最新の動きや変化をキャッチし、それに沿ったコースがデザインされています。
職業訓練校はまた、各業界の様々な分野で活躍している社会人にも大人気です。例えば、多くのビジネスマンが、自己啓発や昇進を目指し、ビジネス上で求められる最新の知識やスキルを習得するために、それぞれの目標に合ったレベルのコースを受講しています。また、キャリアチェンジをしたい人、現状を改善したい人など、様々な目的を持った社会人学生が真剣にチャレンジしています。
忙しい皆さんにとって最大の魅力は、やはり短期間で国際的にも通用する専門資格が取得できることでしょう。幅広い分野にわたる様々なレベルの資格がありますが、特に業界最高峰の専門性を極めるため、大学院レベルの高度な資格も提供されているのが特徴です。
職業訓練校教育の特徴
オーストラリアの職業訓練校は、TAFE(テイフ)*1と呼ばれる公立の総合職業訓練校と私立学校の2種類に大別されます。TAFEは、州政府によって運営されており、都市部と地方のキャンパスをネットワークで結び、各キャンパスで幅広い分野の専門指導を行っています。
一方、私立の職業訓練校は、観光業、ビジネス、デザインなど、分野を特定している学校が多いのが特徴です。各教育機関が実施するコースやプログラムは、政府の認定を受け、定期的なチェックの下で適切に管理されており、講師陣をはじめカリキュラムや指導内容などの高い水準が守られています。また、最先端のテクノロジーを駆使した設備が充実し、実践的な学習に適した環境が整っています。
オーストラリアは、「オーストラリア教育資格システム」*2という包括的な資格制度の下、国内の職業訓練校や大学などで取得できる特定の資格・学位を全国的に認定しています。取得した単位や資格は別の教育機関でも認められるので、あるコースを修了した学生は、新たな資格を目指したり、他の学校で上級レベルのコースに進んだりすることもできます。つまり状況に応じ、それぞれのキャリアプランに最も適した学習スタイルが選べるので、とても効率的に資格の取得ができます。
- TAFE: Technical and Further Education 専門技術教育を行う公立の総合職業訓練校の総称
- 「オーストラリア教育資格システム」AQF: Australian Qualifications Framework
オーストラリアの職業訓練校で取得できる資格
|
サーティフィケート1 Certificate I |
4~6ヶ月 | 必要な管理指導のもとで、業務内容の理解、実行能力に基づく初歩的な技術を身に付ける。 |
|---|---|---|
|
サーティフィケート2 Certificate II |
6~8ヶ月 | 決められた管理指導のもとで、サーティフィケート1よりさらに複雑な業務内容を理解し、実行能力に基づいた基本的な技術を身に付ける。 |
|
サーティフィケート3 Certificate III |
約1年 | 専門性と業務管理能力、高いレベルの自己管理能力、技術面での適応力をつける。 |
|
サーティフィケート4 Certificate IV |
1年~1年半 | 幅広い専門性、一定の責任に基づいた業務管理および経営管理能力を身に付ける。サーティフィケート3のコース修了、または規定の高校修了資格を持つことが入学条件。 |
|
ディプロマ Diploma |
1年半~2年 | 理論と技術に基づく高い専門性を身に付ける。サーティフィケート4のコース修了、または規定の高校修了資格を持つことが入学条件。 |
|
アドバンス・ディプロマ Advanced Diploma |
2年~3年 | 複数の職種にわたる適性能力、より複雑かつ高いレベルの専門技術、管理者としての責任が求められる。大学の学士に次ぐ資格。ディプロマ修了、または規定の高校修了資格を持つことが入学条件。 |
|
ボケーショナル・グラジュエート・サーティフィケート Vocational Graduate Certificate |
半年 | 大学院レベルのグラジュエート・サーティフィケートに相当。職業分野のエキスパートとして、マネージメントに基づく高度な職業知識とプロとしての専門スキルの向上を目指す。アドバンス・ディプロマや学士号などの特定の学歴と職歴を持つことが入学条件。 |
|
ボケーショナル・グラジュエート・ディプロマ Vocational Graduate Diploma |
1年 | 大学院レベルのグラジュエート・ディプロマに相当。ボケーショナル・グラジュエート・サーティフィケートに引き続き、職業分野のエキスパートとして、更に高度な職業知識と専門スキルの向上を目指す。アドバンス・ディプロマや学士号などの特定の学歴と職歴を持つことが入学条件。 |
※一部の職業訓練校では、学内で提携大学の学士課程プログラムを実施しており、職業訓練校資格に加え学士号を取得することもできる。
コースの分野/職業例
オーストラリアの職業訓練校は、伝統的な分野をはじめ、新しいキャリア分野をカバーする多様なコースを用意しています。これらのコースには、情報技術、ビジネス・経営・マーケティング、メディア、社会福祉、環境学、保健・医療、農学、工学、建築学、デザイン、芸術、スポーツ、ホスピタリティー、観光、航空関係、調理などを含みます。
職業例
| 情報通信 | プログラマー、システムエンジニア |
|---|---|
| ビジネス・経営 | 管理職、企業経営者、マーケター |
| メディア・通信 | 映像・ビデオ・テレビ番組制作・ ジャーナリスト編集助手 |
| 社会福祉 | ソーシャルワーカー、福祉施設、病院 コミュニティーセンター |
| 環境学 | 環境団体、研究所、メーカー企業 環境プロジェクト担当 |
| 保健・医療 | 看護助手・ヘルスアドバイザー・歯科技工士・老人介護士・保育士 |
| 農学 | 農産業アドバイザー、農産物販売業者、農業従事 |
| 工学 | 電気・土木技師、電気通信産業 |
| 建築学 | 建築家、測量技師 |
| デザイン | インテリア・ファッションデザイナー、グラフィックデザイナー、製品開発 |
| 芸術 | 陶芸家、写真家、宝石デザイナー |
| 音楽・演劇 | 音楽家、俳優、テレビ・ラジオキャスター、アナウンサー、舞台アーティスト |
| スポーツ | スポーツインストラクター |
| 翻訳・通訳 | 翻訳家、通訳、同時通訳 |
| 秘書額 | 貿易会社・外資系企業の秘書、事務職 |
| 観光 | 旅行コンサルタント、ツアーコンダクター、イベントプランナー |
| ホスピタリティー | ホテルマネジャー、接客関係 |
ユニークなコース
| 航空関係 | 空港オペレーター・エンジニア、パイロット |
|---|---|
| ナチュラルセラピー | 自然科学治療、整体、アロマセラピスト |
| ビューティーセラピー | メークアップアーティスト、美容師 |
| ファッションデザイン | 衣料関係、デザイナー |
| 宝石デザイン | 宝石商、宝石デザイナー |
| 調理 | シェフ、レストラン経営 |
| アニマルテクノロジー | ペットショップ、研究所、動物保護団体 |
| フラワーアレンジメント | 花屋、ルームコーディネーター |
職業訓練校修了後のオプション
コースを修了した後は、すぐに就職することもできますが、さらに高いレベルで勉強を続けることも可能です。
職業訓練校から大学への進学や編入は、一般的に行われています。通常、職業訓練校で取得した資格と大学での専攻が同分野であれば、規定の範囲内で職業訓練校の単位が大学の単位として認定され、学位取得までの期間を短縮することができます。場合によっては、学位をひとつ取得するのと同じ期間で実践的なディプロマ資格とアカデミックな学士号のふたつを取得することもできるわけです。
また、多くの職業訓練校が大学と提携し、特定分野の職業訓練校資格と大学学士号をダイレクトにつなぐ“Diploma to Degree Pathways”プログラムを実施しています。この場合、職業訓練校でディプロマやアドバンス・ディプロマなどの上級コースを一定の成績で修了すれば、自動的に大学の2学年(または3学年)に編入することができます。将来的に大学進学を考えている人は、希望する職業訓練校のコースが大学とリンクしているかどうか、事前にしっかり調べるようにしてください。
まずは、必要に応じて英語の集中トレーニングを受けます。英語力の入学条件を満たした学生は、専門分野に関するその時点での知識や学歴・職歴などを考慮に入れ、一番合ったレベルのコースからスタートすることができます。
例えば、1年間の留学プランでは、6ヶ月間の英語トレーニングの後で、6ヶ月間のサーティフィケートレベルの資格コースを受講し、その後さらに高い資格や学位を目指すという選択もあります。
職業訓練校と大学との違い
職業訓練校が大学と異なる大きな点は、あくまでも職業に直結した専門スキルを重視していることです。実社会で要求される専門知識と技術を身につける場として、授業も実践的な内容が多く、重要な学習プロセスのひとつとして実地研修も頻繁に行われています。就職の際、こういった実用的な業務経験は雇用主からも高く評価されるので、大学を卒業してから、職業訓練校で資格を取得し、キャリアアップや就職のチャンスをつかむ人も珍しくありません。また、大学と比べるとクラスも少人数制なので、豊富な実務経験をもった講師陣によるきめ細かな指導が受けられるようになっています。
参考例
- 「経営管理」の大学学位を取得したあと、「スポーツ経営管理とマーケティング」のディプロマを取得し、スポーツジム・センターの管理や経営をする
- 「観光学」の大学学位を取得したあと、「アウトドア・レクリエーション」のディプロマまたはサーティフィケートを取得し、リゾート経営をする
- 「メディア学」の大学学位を取得したあと、「グラフィック・デザイン、写真」のサーティフィケートもしくはディプロマを取得し、新聞社や雑誌社の記者になる
学習スタイルとコースの選びかた
学習スタイル
すべてのコースには実習が含まれているので、職場で実際に使用されている設備機器にも慣れ親しみ、自信を持って使いこなせるようになります。例えば、ホスピタリティー系の学校には、通常、本格的な実習を行うためのキッチンや、レストラン、バーなどが完備され、観光学では、予約研修ができるコンピューター通信システムなど最新の専門機器が備えられています。つまり、専門知識を学びつつ、実習を通して様々なケーススタディーをこなしながら、プロとしての実践スキルを身につけていくことができます。
コースの選び方
職業訓練校のコースは多岐にわたり、特に私立の学校はそれぞれ力を入れている専門分野があり、ユニークなカリキュラムを組んだりして、特色を発揮しています。期間や予算を踏まえ、目的に最も即したコースを選ぶようにしましょう。学校やコースの情報は、オーストラリア政府のホームページや「Study in Australia日本語版」のデータベース検索を使って集めることができます。(当機構発行の「留学までの手続き」参照)
開講学期/入学要件/学費
開講時期
通常、公立のTAFEは2学期制、私立は2学期または4学期制です。ほとんどのコースは、1月または2月からスタートし12月に終わりますが、学校やコースによっては、新学期ごとに学生の受け入れを行っている場合もあります。開講日と入学申込みの締切日は、学校やコースによって異なるので、注意しましょう。
入学要件
基本的に、英語力と学業成績が入学の条件となります。(コースによっては、実技試験などが課される場合もあります。)
英語力を証明するためには、IELTSまたはTOEFLなどの英語検定試験の結果を提出する必要があります。IELTSで5.5~6、TOEFLで527~550点(PBT:ペーパー版)、197~213点(CBT:コンピューター版)、70~80(iBT:次世代版)を目安にするとよいでしょう。英語力が基準に満たない場合は、ほとんどの職業訓練校が付属英語学校を持っていたり外部の英語学校と提携しているので、一定期間の集中英語研修を受けてから、資格コースに進むこともできます。
要求される学業成績は、コースによって異なります。通常は、高校卒業までの12年間の就学経験が必要ですが、初級レベルのコースでは、10年間もしくは11年間(高校1~2年生修了) の就学歴があれば、入学可能なところもあります。また、上級コースでは、関連分野における特定資格や実務経験などが求められます。希望するコースの入学基準に満たない場合には、まず低いレベルのコースから始め、必要な英語力と学力をつけて次のレベルに進むのもひとつの方法です。
学費
資格の種類やコースの期間によって異なりますが、1年間で$5,000~ $15,000(45~135万円)が目安となります。(換算レート豪$1 = 85円)
滞在施設・留学生サポートについて
滞在施設・ステイ先
ホームステイやアパート、寮などさまざまな滞在施設があり、学校に依頼すると希望に合った宿泊場所を探す手伝いをしてくれます。長期留学する場合、初めはホームステイや寮など学校が手配してくれる滞在先を利用すると安心です。環境に慣れてきたら、個人または友達と共同でアパートを借りて自由に生活するのも良いでしょう。
留学生サポート
留学生が安心して学生生活を送れるよう、サポート体制はとても充実しています。ほとんどの職業訓練校には「留学生センター」があり、滞在先の手配から空港到着時の出迎えをはじめ、留学生活に早く慣れるよう生活全般について丁寧にサポートします。また、専門スタッフによる学習アドバイスや英語のサポートも行っているので、積極的に活用しましょう。
希望に応じて、キャリアの情報や大学進学など将来の進路に関するアドバイスも受けられます。課外活動も盛んで、スポーツ、国際交流イベント、パーティーなどバラエティーに富んだアクティビティーが用意されているので、留学生活そのものを楽しむことができるでしょう。



